相続問題でお困りの方は
交通事故の被害者の方は
借金問題でお困りの方は
名古屋の弁護士による離婚相談
黒川総合法律事務所

黒川総合法律事務所

住所:
〒462-0825
名古屋市北区大曽根3-4-12
コジマビル5階

TEL:052-910-0335

FAX:052-910-0336

事務所詳細はこちら

スタッフブログはこちら

刑事少年

被疑者段階

被害者との示談交渉を行います。示談を成立させると起訴猶予処分で終わったり、起訴されても裁判で有利な判決になる場合があります。

被告人段階

身柄解放にむけて保釈請求を積極的に行います。

少年事件

少年事件では弁護士は付添人として活動します。少年事件の調査に関しては家庭裁判所調査官や鑑別所技官などの専門家が精緻な調査分析をしていますが、少年のパートナーである付添人が少年の立場になって考えると、調査官などの専門家とは違った事件の見方ができます。

そして、少年や家族さらには学校などの関係機関に働きかけ、問題点の調整を行った結果、少年の処遇に対する選択に影響し、審判結果が変わることもあります。

ある事例報告(「春日井法律事務所 友の会だより」から転載。)

瑞穂の風

桜が散った山崎川には、まだ肌寒い風が吹き抜けていた。私は圭太(仮名)と連れ立って瑞穂陸上競技場に向かった。Jリーグ名古屋対新潟。グランパスのホームゲームである。

「選手の動き出しが悪いなぁ。ボールが回っていないし、負けますね。」
圭太は小学生のとき、愛知県有数のクラブチームに入っていた。私もサッカーが好きなので、警察署でも鑑別所でもサッカーの話題で盛り上がった。
結果は1対1の引き分け。試合内容は圭太の言うとおり負け試合だった。

「先生、実は俺、親父のこと嫌いなんですよ。」
スタジアムからの帰り道、圭太は何気なく話した。圭太が父親を悪く言ったのは、初めてである。
「そうなんだ。」と私も何気ないように答えた。
「それが普通だよなぁ。」と私は心の中で妙に納得していた。

圭太の家族

圭太の家庭は、父親と妹の3人家族。圭太が5歳のころ、両親は離婚した。

母親は子どもを家に放ってパチンコに夢中な人だったらしく、圭太は迷うことなく父親との生活を選んだ。父には保護観察処分歴があるが、苦労しながらも男手一つで2人の子どもを育てた。中学卒業まで圭太には何も非行歴がなかった。

そんな父親を圭太は
「同じ職場で働く。尊敬している。」といつも鑑別所で私に話してくれた。
「父子家庭で父親に対する感情が悪いと不利だと思っているのだろうなぁ。」
と私は圭太の心の内を想像した。そして、父親に対する感情が非行の原因だとしたら、初発非行はもっと早かったはずだと思った。

非行事実と非行実態

圭太の非行名は傷害。圭太を含めて5人が共謀して、少女2人に対し集団で暴行を加えたものである。当時、圭太は15歳。中学校を卒業して半年後のことだった。

私は週2回程度、警察署に通った。何回目かのとき、「先生、俺、非行事実よりもっとひどいことをしているんです。」と圭太はためらいながら告白した。

少女の1人に対し性的暴行を加えたのだ。圭太の住んでいる地区は名古屋でも非行の進んだ地域であり、共犯者も保護処分歴があるようだ。

圭太の供述調書を閲覧すると圭太も率先して犯行に加担したとある。私は少年院送致もやむを得ないと覚悟した。

「圭太は話が好きだね。警察署でも私が帰ろうとしてもなかなか帰してくれなかったね。」
「だって先生、先生がいなくなるとまた取調べが始まるんですよ。きつくて先生がいるときだけ休めたんです。」
圭太の言葉に私は慌てて供述調書を読み返した。そして圭太に読み聞かせて、供述内容が真実か確かめていった。

圭太は不良グループに入って間がなかったので、グループ内での地位は低かった。パシリをやらされ、気に入らないと殴られた。少女に性的暴行を加えたのもリーダーに、強要されたものだった。やらなければ、圭太がリンチされていたのだ。圭太はリーダーの命令に従ったが、それでも最後は仲間からリンチされた。仲間同志でも暴力で支配された世界。そこにも圭太の居場所はなかった。事件後、圭太は家に引きこもって、誰にも会わなくなった。

私は家庭裁判所調査官との協議の際、圭太は加害者であるが、非行実態としては被害者であると説明した。調査官も同意した。調査官の意見は少年院送致だった。でも私は社会内処遇がいいのではないかと思い始めた。

非行原因

圭太は高校受験に失敗した。しかし、友達は皆、高校に進学した。

「高校に進学できていたら、こんなことにならなかった。」と何度も口にした。
初めての挫折に圭太は耐えられなかったのだ。不良グループに入って、圭太はさらに傷ついた。自尊心の喪失。多くの非行少年と同じように圭太の自尊心はズタズタだったのである。

処分

あくまでも圭太は加害者である。加害者としての責任を鑑別所では何度も圭太と話し合った。
「慰謝料を支払いたい。でも父親に立て替えてもらうのではなく、自分で働いた給料で支払う。」
早く示談をまとめた方が、処分が有利になると私が話しても圭太の決心はかわらなかった。

私は家庭裁判所への意見書の中で「非行集団になじみのない少年に対しては社会内のサポートにより自尊心を回復させ、非行から立ち直らせるべきである。」との意見を付した。

審判結果は、保護観察処分だった。

後日談

審判が終わったのだから、示談をしなくても少年院に送られることはない。
でも圭太は給料を手にすると、私に慰謝料を支払いたいと連絡してきた。圭太は約束を守る少年なのだ。
冒頭のサッカー見物も鑑別所で私とサッカーを見に行こうという約束を守ってくれたのである。

別れ際にもう一つ、約束をすればよかった。
18歳になったらもう1回、サッカー見物をしよう。」

きっと約束を守るため、頑張ってくれたに違いない。

Copyright © 黒川総合法律事務所. All rights reserved.