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5月 31 2020

自己破産すると携帯電話はどうなる?

1 携帯電話は、水道や電話と同じように現在では生活に必要な費用とみなされますので、自己破産手続き中でも通信料を支払うことができます。したがって、滞納しないで通信料の支払いを続けてください。すでに通信料に滞納がある場合は、携帯会社を債権者として届け出ることになりますので、毎月の通信料を支払うと偏頗弁済になりかねません。注意してください。

2 スマホ本体については、一括で購入していたり、割賦払いが終わっていれば、自己破産の手続きの中で携帯電話の端末を換価しなければならないことはまずありません。しかし、端末代金に残金がある場合には、代金を支払うとやはり偏頗弁済になってしまいます。支払いが不能ということになれば、通信業者から契約を解除されるおそれもあります。

滞納している通信料や端末の割賦払い残金を解消するには、契約者以外の第三者、例えば、家族が支払ってくれれば、偏頗弁済にあたりませんが、あとで問題を指摘されないように弁護士によく相談してからにしてください。

 

5月 31 2020

交通事故の加害者が自己破産を申し立てたらどうなるのか?

1 交通事故の加害者が自動車保険に入っておらず、しかも自己破産の申立てをした場合、責任追及はどうすればよいでしょうか?
破産法には。免責が認められない債権として
① 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
② 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
が規定されています。「悪意」とは積極的に相手方を傷つけようとする害意と解されているので、通常の交通事故ではまずこれに  該当しません。
そうすると非免責債権か否かは、人身事故でどんな過失が「重大な過失」に当たるかが問題になってくるわけですが、無免許運転、酒酔 い運転などのかなり悪質な事案に限られてきます。
2 それでは、自己破産した加害者が免責されたので賠償金を支払う義務はないと争ってきたらどうすればよいでしょうか?
破産裁判所は、免責債権か否か判断を行いませんので、加害者と争うには、不法行為に基づく損害賠償請求事件として訴訟を提起する必要があります。当然、加害者は損害賠償債務が自己破産により免責されたと主張してきますので、非免責債権か否かを裁判で争い、裁判所に判断してもらうことになります。
3 またあなたが加入している自動車保険の特約で損害の補償を受けられないか保険会社に問い合わせしてみましょう。

5月 22 2020

自己破産を早く終わらせるにはどうしたらいいですか?

自己破産の手続きにどの程度、時間がかかりますかとよく質問されます。

手続きを早く終わらせるために大切なことの一つは

弁護士に相談してから裁判所に自己破産の申立てをするまでの期間をできる限り早くすることです。

1 自己破産に必要な費用(弁護士費用・予納金)が準備できていない。

例えば、弁護士費用を30万円として、一括では支払えないので、分割払いにする場合

(弊所では事情によっては分割払いに応じています。)

月5万円の支払だと6か月はかかることになります。

法人破産だと予納金も多額になりますので、破産に必要な費用を事前に確保しておかないと

破産までに時間が要したり、最悪の場合、破産できないことになってしまいます。

2 破産申立てに必要な書類の準備ができていない。

弁護士から依頼してもすぐに書類を作成して頂けなかったり、書類を準備していただけないと

申立までに時間がかかってしまいます。

3 弁護士への連絡が途切れてしまう。

何度も電話しても出られない方がいます。お話しを聞かないと手続きが進んでいかないことがあります。

自己破産を早く終わらせるには、弁護士の指示に従って協力していただくことがとても大事です。

 

5月 21 2020

退職金は自己破産するとどうなる?

退職金債権の4分の3は差押禁止債権です。

残りの4分の1は換価処分ができることになりますが、

退職金はかなり高額になることも多いわけですから、

自由財産を拡張して、退職金債権の支給見込み額の8分の1相当額が換価処分の対象になっています。

なお、近々退職金債権が支給されることが見込まれる場合は、原則とおり4分の1です。

しかしながら、退職金の中には法律上差押が禁止されてものがあり、例えば

① 中小企業退職金共済

② 小規模企業共済

③ 確定給付企業年金

④ 確定拠出年金

⑤ 社会福祉施設職員等退職金手当法

これらの退職金は、法律により保護されていますので、破産者が全額保有することができます。

 

 

3月 27 2020

住宅ローンの支払いに困ったときの対応

住宅ローンの返済に困ったら、まずは金融機関に相談されることでしょう。

リスケジュールといって住宅ローンの借入条件を変更し、

返済期間を延長したり、元金据え置き期間を設定するなどして

毎月の返済金額を減らせないか相談しましょう。

それでも住宅ローンの支払いが難しければ、金融機関の承諾を得て

住宅を任意売却する方法があります。

しかし、不動産の価値よりも住宅ローンが明らかに多いオーバーローン状態であれば

債務をなくすことはできません。

またどうしても住宅を残したい方もおられることでしょう。

そんなときは、個人再生という債務整理方法があります。

債務の総返済額を減額することで住宅ローンの返済を続けられるときは検討すべきです。

それでも多額の債務を支払っていくことができなければ、

最後の手段である自己破産を選択することになります。

当事務所では依頼者が住宅の確保を希望された場合、

リスケの交渉に同行したり、毎月の支出を減らすために生活の見直しを図ったりして

個人再生、あるいは任意整理の検討を行っています。

 

3月 26 2020

取引先が破綻したときの債権回収方法

取引先が破綻した場合、取引先から債権を回収する手段にはどんな方法があるのでしょうか?

① 相殺

破産会社に買掛金があれば、売掛金と相殺する方法が考えられます。

相殺の意思表示は内容証明郵便を利用するなど確実な方法により行います。

② 担保権の実行

債権者の担保権は、「別除権」といってその他の債権より優先して債権の回収を受けることができます。

ア 抵当権

対象不動産の所在地を管轄する地方裁判所に競売の申立てを行います。

イ 所有権留保

所有権留保とは、売買代金が完済されるまで買主に引き渡した物品の所有権を留保することをいいます。

物品の引き上げは、取引先の同意を得たうえで実行しましょう。

③ 連帯保証人からの回収

連帯保証人は人的担保です。取引先が破産の恐れがある場合には、連帯保証人に履行を求めるか速やかに検討します。

 

3月 25 2020

破産手続きにおける自由財産拡張

新得財産、99万円以下の現金、差押禁止財産は自由財産といって

破産手続き開始後も破産者が保有して自由に使用することができます。

これ以外にも裁判所が許可すれば、自由財産として扱うことができる制度が設けられており

「自由財産の拡張」といいます。

① 預貯金

② 生命保険解約返戻金

③ 自動車

④ 居住用家屋の敷金債権

⑤ 電話加入権

⑥ 退職金債権

上記の債権であって、その評価額が20万円以下の場合、原則として自由財産の拡張が認められます。

ただし、最終的に自由財産の合計額が99万円を超えないように、拡張する財産を選ぶ必要があります。

3月 24 2020

自己破産しても残せる自由財産

破産者が自由に利用・処分できる財産を自由財産といい、破産法に規定されています。

① 新得財産(破産法34条1項)

破産手続開始後に破産者が新たに取得した財産は、破産者が保有することが認められています。

② 99万円以下の現金(同法34条3項1号)

銀行の預貯金はこれに含まれません。

③ 差押禁止財産(同法34条3項2号)

生活必需品である家具、電化製品等。

④ 自由財産の拡張が認められた財産(同法34条4項)

裁判所の決定により認められます。詳しくは次回ブログに書きます。

⑤ 破産管財人から破産財団から放棄された財産(同法78条2項12号)

破産管財人が容易に換価できないとき、破産財団から放棄されることがあります。

 

3月 22 2020

破産手続きにおける偏頗弁済に注意

偏頗弁済とは特定の債権者に対して優先的に債務を弁済することをいいます。

絶対に偏頗弁済をしないようにと強くお願いしていますが、

いつから偏頗弁済になるのでしょうか?

破産法(162条1項)には、「支払不能」と「破産手続開始の申立て」があってからの弁済が

偏頗弁済と規定されています。

支払不能とは、「債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき

一般的にかつ継続的に弁済することができない状態をいいます(破産法2条11号)。

そして、債務者が支払停止したときは、支払不能と推定されます(破産法15条2項)

支払停止とは、支払不能であることが少なくとも黙示的に外部に表示されている行為をいいますが、

では弁護士が債権者に受任通知を送付する行為は支払い停止に当たるでしょうか?

受任通知の送付は、支払能力を欠くために一般的継続的に債務の支払いをすることが、

少なくとも黙示的に外部に表示されているとして支払停止に当たると最高裁は判示しました。

弁護士に債務整理を依頼した以上、弁護士の指導に従って偏頗弁済をしないようにお願いします。

 

3月 19 2020

建物賃借人の破産

賃貸借契約継続中に賃借人が破産したとき、賃貸人は賃貸借契約を解除することができるでしょうか?

契約書に賃借人が破産したときは解除できる旨の特約があったとしても、

最高裁は、建物の賃借人が破産したとき、賃貸人は直ちに賃貸借契約を解除することができる旨の特約は

賃借人に不利なものであるから無効であると判示しており、

原則として賃貸人が賃借人の破産を理由に一方的に解除することはできません。

しかしながら、賃借人が数か月家賃を滞納している場合は、

賃料の滞納を理由に契約を解除することは当然に認められます。

一定期間滞納が続いたら、速やかに賃貸借契約の解除、物件の明け渡しを求める手続きを検討すべきです。

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